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巻き込みながら聞く技術 by 山口真由氏

年を取ると、人生経験の長い私の話を聞きなさい、という態度についついなりやすい。でも、「聞く」ことについて、とても役にたつお話しだったので、抜粋し、共有させていただきます。

(「THE21」2019年8月号掲載インタビューより 取材・構成:林加愛 より引用)

■話す技術よりも重要な「聞く」技術
財務官僚から弁護士へ、そして現在は数々の報道・情報番組でコメンテーターを務め、講演会でも活躍している山口真由氏。的確に要点をまとめ、平易な形で聴き手に届ける語り口には定評がある。そんな山口氏のアウトプットのエッセンスを凝縮した『思い通りに伝わるアウトプット術』が発刊された。ここでは、そんな山口氏が「話すよりもむしろ大事」だという「聞く技術」を聞いた。

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もう一点、気をつけているのは「言葉選び」だ。

「まず、ネガティブなニュアンスの言葉は使わないこと。以前、財務省の先輩が講演で高齢者対策を語った際、『高齢者の方は』ではなく『老人は』と連呼し、聴衆との間に明らかに溝を作っていました。内容自体が素晴らしかっただけに残念です。また、高齢の方に対しては、カタカナ言葉が壁になることも。『アンビバレントな感情』と言いたいときは、『怒りと安堵、矛盾する二つの気持ち』などと、言い換えることも大切です」

人名や地名などの固有名詞にも気を遣う必要がある。事前に調べて読み方をメモしておくことも。「特に団体名や人名は、間違うと失礼にあたります。『関西(かんせい)学院大学』を『かんさいがくいん』と発音した日本大学の内田前監督が猛烈な非難を浴びたのは、記憶に新しいところですね」

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■思い入れのあるテーマほど抑えめに
一方、せっかくの用意を無にする落とし穴が「メンタル」。いざ人前に出ると、緊張で内容が飛んでしまうことはままある。

「緊張でうわずった声を自分の耳で聞いて『私、あがってる!』とますます頭が真っ白に……となるのは困りものです。高い声や早口の口調は、内容も軽く響きがちです。そこで私が気をつけているのが『入り際』。出だしだけ意識して『1拍空けてから話し出す・できるだけ声を低くする・ゆっくりと話す』ことを心がけています」

会議や講演など、聞き手の顔が見える場で有効な対策もある。

「好意的な姿勢で聞いてくださる人を見て話すことです。本来は全員を均等に見るべきですが、苦虫をかみつぶしたような顔の人を見てしまうと『折れる』ので危険(笑)。興味深げな表情・態度の人を見たほうが、平常心を保てます」

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また、意外なところで足を引っ張るのが「思い入れ」。

「自分の関心事や、私的経験の絡んでいることは熱く語りたいものですが、周囲との間に温度差がありすぎると話がかみ合わず、伝わりづらくなります。ここは感情的になりすぎないよう抑制が必要。特に、『怒り』を露わにするのは危険です。あえて憤りをこらえて理性的に語っている、という様子のほうが、はるかに聞き手の心に響きます」このように、伝えるという行為には感情が大きく影響する。自分のみならず、相手の感情を斟酌することも欠かせない。

「法律上の交渉では特に重要なポイントです。論理的な説得はもちろん不可欠ですが、相手が『一方的に言いくるめようとしている』と感じてしまうと、まとまるものもまとまりません。相手の状況や背景に留意して、どのポイントで心を動かせば合意点に結びつくかを考えます」

■弁護士に求められる「聞かないスキル」とは?
そこで必要になってくるのが「聞くスキル」だ。
「事故の訴訟や離婚裁判、遺産相続など、個人の感情が影響する案件に携わる弁護士は、総じて聞き上手です。依頼人の話が長くても、『そこは関係ないのだが』と言いたくなるような昔話が始まっても、絶対にさえぎらずに真摯に耳を傾けます。これは一見無駄なようで、一番重要なプロセスです。この段階で信頼を得ることが、その後のコミュニケーションの基盤になるからです」

ちなみに山口氏自身が多く担当したのは企業法務。ここでは逆に、「聞かないスキル」が求められる場面が多かったという。

「相手側企業の弁護士が話しているとき、プレッシャーをかけるためにわざと目をそらしたり、書類に目を落としながら首をひねったり、これ見よがしに同僚と内緒話をしたり。非常に嫌な人物を演ずるわけですが(笑)、交渉を有利に導くために、これもまた大事な技術でした」

無関心や不賛成を示して話し手の自信をくじくのが「聞かないスキル」なら、その正反対のことを行なうのが聞くスキルだ。

「目を合わせる、うなずく、あいづちを打つ。これを徹底して行なっていらしたのが有働由美子さんです。一度お会いした際、なんとあちらから『コメントをされる際、気をつけていらっしゃることを教えてください』とご質問を受けました。大先輩にお教えできることなど……と恐縮しながらお答えしたら、すかさずノートを出されてメモまで取られるのです。関心を全力で示される姿勢に驚き、とても嬉しく感じたのを覚えています」

■全員を「インクルード」するワンランク上の技術

司会やアナウンサーを務める人々の「聞く技術」は際立っている、と山口氏。

「高橋真麻さんもその一人です。仕事でご一緒したときに感じたのは、その場にいる人全員が会話に参加できるよう気を配られているということ。質問を投げかけ、全員を『インクルード』する達人なのです」

ハーバード大学法科大学院在学中は、アメリカの人々のインクルードの姿勢に助けられたと振り返る。

「言葉の壁もあって会話にうまく入れない私に、『真由はどう思う?』『日本の法律ではどうなっているの?』と、答えやすい質問を投げかけてくれる人がいました。その人には今でも感謝していますし、仕事ができる人ほどこの技術に長けていると感じます。ビル・クリントンやイヴァンカ・トランプも、パーティで輪に入れない人を会話の中心に引き寄せ、誰一人疎外感を抱かないようにする優れた会話テクニックを持っているそうです」

このテクニックはビジネスを有利に運ぶ手段としても活用される。

「例えば会議の席。優れた進行役は参加者全員に目を配り、どのメンバーにも一度は発言を促し、要所要所で文脈を整理しつつ合意へと近づけていきます。ただ、中には『全員の意見を聞いた末の決定』という体を取りつつ、さりげなく自分の望む方向へ結論を近づける人も」

良きにつけ悪しきにつけ、こうしたハイレベルな聞き方は、全体像を把握する力量があってこそ発揮できるものと言える。

「結論までのステップを組み立て、『ここでこの人に聞こう』『次に、この人からこんな話を引き出そう』と考える、まさに指揮者的な能力ですね。近年、情報番組の司会者にもこのタイプの方が増えています。自ら意見を言うのではなく、コメンテーターに『言ってもらう』──各々に適したタイミングで質問を投げかけ、引き出した発言を構成する、新しいリーダーシップの形だと思います」

これらの達人を間近で見るにつけ、聞くことは話すことより難易度が高い、と感じるという。

「話すことは、自分の考えが明確にありさえすればできますが、聞くことは他者の思考の領域に入ることです。それを引き出し、理解し、複数の話し手がいれば各々を組み合わせる。非常に高度な技と言えるでしょう」

■「聞くこと」は能動的な表現である

とはいえ、全員がその技を習得する必要はないとも語る。

「『聞き上手』には2通りあると思います。前者は今お話ししたような本物の聞き上手。後者は、聞いているようで聞いていないタイプ。実際のところ、世の聞き上手の大半は後者でしょう。でもそれは悪いことではないと思います。極端な話、バレなければいいのでは(笑)。相手が『話しやすい』と感じるなら、十分に良い聞き手と言えます」聞き手の姿勢によって話しやすさは大きく変わる。

「最近は話す機会が増えたので、なおさらそう感じます。ビビッドなリアクションで聞いてもらえれば言葉が滞りなく出てきます。私もそのような聞き手でありたいと思いますね」対して、「良くない聞き手」に遭遇することもある。

「例えば、聞く姿勢を示しておきながら自分の話に持っていく我田引水タイプ。これは政治家、それも若手政治家の方に多いのですが、自分から質問を投げかけておいて、答えが返ってきたら『私もそうなんだ、実は』『それは僕が思うに』と、話を奪ってしまうのです。つまり、自分の考えを切り出すきっかけにしたかっただけ。こういう人はちょっとげんなりしますね」

もう1タイプ、「損をしている聞き手」もいるという。

「実は聞いているのに、態度に表さないタイプです。こちらは居心地の悪い思いをしながら話を終えるのですが、その後、驚くほど的確なコメントが返ってくるのです。笑顔でうなずいていた方より深く理解してくださっていることも(笑)。ただ、それでもなお、記憶の中では笑顔で聞いていた方のほうが好印象となって残るのです」

実際に聞いているか否かより、聞く姿勢が相手に伝わっているか──真のポイントは、むしろここにある。

「聞くことは受動的な行為だと思われがちですが、実は非常に能動的です。あなたの話に興味がある・理解している・賛同している、といった態度を絶えず話し手に伝え続ける。聞くこともまた、一つの自己表現なのです」

思い通りに伝わるアウトプット術

 

山口真由(ニューヨーク州弁護士) 発売日: 2020年02月18日
「言いたいことが伝わらない…」「知っているのにうまく言えない…」そんな悩みを解決する「新しい伝え方の教科書」!著者は東京大学在学中に司法試験・国家公務員I種試験に合格。在学中4年間を通じて「オール優」で、総長賞も受けた人物。しかし、そんな著者も社会人になった頃は、インプットした知識を実務に活かせない「アウトプット下手」で、とても苦労したという。しかし、その経験をバネに、「学びを成果に直結させるアウトプット術」を独自に開発。そのメソッドを実践することで、仕事の成果が出はじめ、現在はテレビのコメンテーターとしても活躍するほどの「アウトプット上手」になった。本書では、そんな著者が教える「インプット型のためのアウトプット術」の秘訣を1冊に凝縮。学校では教えてくれない「アウトプットの極意」がここにある!(『THE21オンライン』2020年02月20日 公開)

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